講習会

2023年度訓点語学会訓点資料講習会について

訓点語学会では、若手研究者育成のための講習会(訓点資料講習会、古辞書講習会、抄物講習会)を2015年から毎年開催しており、多数の参加者を得ています。今年度は、訓点資料を取り上げて実施することとしました。受講を希望される方は、下記の要領を御一読の上、お申し込みください。

【趣旨】
訓点資料は、国語史研究において重要な位置を占めています。しかし訓点資料研究のためには独特の知識を必要とし、研究者人口の現状とも相俟って、その研究方法の伝承が焦眉の急となっています。
 このような現状を背景に訓点資料研究の知識と実技を教授し、幅広く国語史研究や関連諸領域の研究者の日々の研究に役立てて頂けるようにしたいと考えます。
今年度の講習会は、昨年度に引き続き9月、12月、3月に開催します。予定している講師と講義内容は次のとおりです。それぞれの約1ヶ月前を目処に受講者を募集します。受講ご希望の方はその都度申し込みください。
 
【日時】
○第1回(終了しました)
2023年9月10日(日)
○第2回(終了しました)
2023年12月9日(土)9時~17時(12時30分から13時30分まで休憩時間)
○第3回
2024年3月10日(日)10時~18時(13時から14時まで休憩時間)

【会場】
Zoomによるオンライン講習会(第1回、第2回)、
対面開催(第3回、東京大学文学部2番大教室)

【対象】
訓点資料研究に関心を持っている学生(学部・大学院、研究生、留学生)、若手研究者、一般社会人等

【資格】
申込資格はありませんが、希望者多数の場合は先着順とします。

【人数】
30名程度

【費用】
無料

【講師】(五十音順)
宇都宮啓吾(大阪大谷大学教授)(第2回担当)
小助川貞次(富山大学名誉教授)(第1回担当)
月本雅幸(東京大学名誉教授)(第3回担当)

【事前配布資料】
タイムテーブルの詳細等を記した受講の要領と使用資料を事前に配布します。

【申込】
訓点語学会事務局に下記の申し込みフォームから、第3回については3月3日(日)までにお申し込みください。受講決定者には別途事務局から講習に関する諸連絡を差し上げます。

第3回訓点資料講習会・参加申込フォーム

第1回 9月10日(日)開催(終了しました)
 小助川貞次「訓点研究概説、漢籍訓点資料の解読」
 
【第1回講習内容】
第1回の講習は小助川貞次が漢籍訓点資料について担当します。午前は、ここ20年ほどで急速に進展した訓点研究の成果を盛り込んだ「訓点研究概説」(自言語による漢文読解、漢籍訓点資料の性質、解読方法と調査方法)を講義形式で行います。午後は、平安時代中期の漢籍訓点資料である「唐鈔本古文尚書」と「唐鈔本漢書楊雄伝」の冒頭部分の解読作業を講読形式で行います。

第2回 12月9日(土)開催(終了しました)
宇都宮啓吾「仏書訓点資料入門­文献調査の視点から­」

【第2回講習内容】
第2回の講習は宇都宮啓吾が仏書訓点資料について担当します。
仏書訓点資料を目の前にした時にどのような調査をするかという視点から、書誌学的な調査や調書作成の具体的な方法について説明します。その流れの中で、片仮名字体・ヲコト点等の概説や年代判定・僧侶の分析方法等の問題について言及し、「訓点資料の解説」の類がどのように行われているかといった内容についても触れていきます。

第3回 3月10日(日)開催
月本雅幸「仏書訓点資料の解読と国語史研究への活用」

【第3回講習内容】
第3回の講習は月本雅幸が仏書訓点資料とその国語史研究への利用法について担当します。
前半では訓点資料を正しく解読することについて、実習を含む講義を行います。その際、東京大学所蔵の訓点資料の原本もお見せします。後半ではその解読結果をどのように利用するか、すでに公刊されている訓点資料の解読文にどのようなものがあるか、またその利用に際して注意すべき点について、具体例を挙げながら述べます。               (以上)

The Society for Research in Kunten Language